沓脱ぎ
くつぬぎ
名詞
標準
文例 · 用例
孔雀に餌をやりに行くんだ」 島吉は、男用のゴムの長靴を椽先の沓脱ぎの上に並べた。
— 岡本かの子 『酋長』 青空文庫
枕も髪も影になって、蒸暑さに沓脱ぎながら、行儀よく組違えた、すんなりと伸びた浴衣の裾を洩れて、しっとりと置いた姉の白々とした足ばかりが燈の加減に浮いて見える。
— 泉鏡花 『甲乙』 青空文庫
そして間もなく母屋の縁先の沓脱ぎで、地面に残された跡とピッタリ一致する二足の庭下駄が発見けられた。
— 大阪圭吉 『石塀幽霊』 青空文庫
沓脱ぎ石の上でそれをつっかけながら、左手に握っている刀のさげ緒を右手でびんびん引っぱっているのであった。
— 本庄陸男 『石狩川』 青空文庫
「おお、許すとありゃ――」 と、助次郎、今夜も、かなり酔いがまわっているように見えたが、縁側から、沓脱ぎに揃えてあった、庭下駄を突っかけて下りると大股に、雪之丞の側に歩み近づいて、「これ、河原者!
— 三上於菟吉 『雪之丞変化』 青空文庫
その明るい障子が、静かに中からあいて、デップリした人影が現われたのを見たとき、庭の沓脱ぎの下にすわっているお美夜ちゃんは小さなからだが、ガタガタふるえだした。
— 日光の巻 『丹下左膳』 青空文庫
「蒲生か――泰軒であろう、そこにいるのは」と、沓脱ぎから三つ四つむこうの飛び石の上に、おなじく低い声があった。
— 乾雲坤竜の巻 『丹下左膳』 青空文庫
」 寝巻きの上へどてらを羽織ったまま、上り框と沓脱ぎへ片足ずつ載せた藤吉は、商売柄こうした場合悪い顔もできずに、手がかりのよくない千本格子を力任せに引き開けようとした。
— 宇治の茶箱 『釘抜藤吉捕物覚書』 青空文庫