櫪
櫪
名詞
標準
文例 · 用例
老驥櫪に伏すれども、志千里にありという意がこの中に蔵せられている。
— 森鴎外 『渋江抽斎』 青空文庫
自分が甲野の身分でこの部屋の主人となる事が出来るなら、この二年の間に相応の仕事はしているものを、親譲りの貧乏に、驥も櫪に伏す天の不公平を、やむを得ず、今日まで忍んで来た。
— 夏目漱石 『虞美人草』 青空文庫
所詮鶺鴒の絶えず尾を振るごとくせば、御馬の術も上達すてふ徴象で、さてこそ馬の災を除く猴とこの鳥を踏んで、馬櫪神よく馬を養いよく馬を御すと示したのだ。
— 猴に関する伝説 『十二支考』 青空文庫
また唐の貞元中大理評事韓生の駿馬が、毎日|櫪中で汗かき喘ぐ事遠方へ行きて疲れ極まるごとき故、圉卒が怪しんで廐舎に臥し窺うと、韓生が飼った黒犬が来って吼え躍り、俄に衣冠甚だ黒い大男に化け、その馬に乗って高い垣を躍り越えて去った。
— 犬に関する伝説 『十二支考』 青空文庫
伏櫪千里驥 櫪に伏す千里の驥、蹴空九秋鴻 空を蹴る九秋の鴻。
— 河上肇 『閉戸閑詠』 青空文庫
其木有櫪、投橿、烏號、楓香。
— 内藤湖南 『卑彌呼考』 青空文庫
千里の竜馬|槽櫪の間を脱して鉄蹄を飛風に望んで快走す、何者も其奔飛の勢を遏止する能はず、何物も其行く所を預想する能はず。
— 山路愛山 『明治文学史』 青空文庫
さあ話賃に一杯|注げ注げ」 なみなみと注がせし猪口を一息にあおりつつ、 「なあお豊、今も母さんと話したことだが、卿も知っとるが、武男さんの事だがの――」 むなしき槽櫪の間に不平臥したる馬の春草の香しきを聞けるごとく、お豊はふっと頭をもたげて両耳を引っ立てつ。
— 徳冨蘆花 『不如帰 小説』 青空文庫