雲散
うんさん
名詞動詞-サ変動詞-自動詞
標準
scatter
文例 · 用例
よろしい、それでは一つ、しんじつ未曾有、雲散霧消の結末つくって、おまえのくさった腹綿を煮えくりかえさせてあげるから。
— ――(生れて、すみません。) 『二十世紀旗手』 青空文庫
がりがり後頭部を掻きながら、なんたることだ、日頃の重苦しさを、一挙に雲散霧消させたくて、何か悪事を、死ぬほど強烈なロマンチシズムを、と喘えぎつつ、あこがれ求めて旅に出た。
— 太宰治 『八十八夜』 青空文庫
家へ帰りつくまでには、背後の犬もどこかへ雲散霧消しているのが、これまでの、しきたりであったのだが、その日に限って、ひどく執拗で馴れ馴れしいのが一匹いた。
— ―伊馬鵜平君に与える― 『畜犬談』 青空文庫
でも、不思議なことに、彼女の強烈な感情は、題目一つ唱えるにつれ、太鼓を一度叩くにつれ、雲散霧飛して行きました。
— 岡本かの子 『仏教人生読本』 青空文庫
私の汚い骨も、こんな小綺麗な墓地の片隅に埋められたら、死後の救いがあるかも知れないと、ひそかに甘い空想をした日も無いではなかったが、今はもう、気持が畏縮してしまって、そんな空想など雲散霧消した。
— 太宰治 『花吹雪』 青空文庫
エゴイズムは、雲散霧消している。
— 太宰治 『一日の労苦』 青空文庫
だが、何と驚いた雲散霧消だろう。
— 北原白秋 『フレップ・トリップ』 青空文庫
われは函嶺の東、山水の威霊少なからぬところに産れたれば、我が故郷はと問はゞそこと答ふるに躊躇はねども、往時の産業は破れ、知己親縁の風流雲散せざるはなく、快く疇昔を語るべき古老の存するなし。
— 北村透谷 『三日幻境』 青空文庫