髪天
かみてん
名詞
標準
文例 · 用例
持て余しておりました処へ、ちょうど荷車を曳きまして、藤沢から一日|路、この街道つづきの長者園の土手へ通りかかりましたのが……」 茜色の顱巻を、白髪天窓にちょきり結び。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
異教徒席の中から赭い髪を立てた肥った丈の高い人が東洋風に形容しましたら正に怒髪天を衝くという風で大股に祭壇に上って行きました。
— 宮沢賢治 『ビジテリアン大祭』 青空文庫
神の摂理である善である然るに何故にマットン博士は東洋流に形容するならば怒髪天を衝いてこれを駁撃するか。
— 宮沢賢治 『ビジテリアン大祭』 青空文庫
」 四十一 折から白髪天窓に菅の小笠、腰の曲ったのが、蚊細い渋茶けた足に草鞋を穿き、豊島茣蓙をくるくると巻いて斜に背負い、竹の杖を両手に二本突いて、頤を突出して気ばかり前へ立つ、婆の旅客が通った。
— 泉鏡花 『黒百合』 青空文庫
」 と唐突に襖を開け、貴婦人、令嬢、列席の大一座、燈火の光、衣服の文、光彩|燦爛たる中へ、着流に白縮緬のへこおびという無雑作なる扮装にて、目まじろきもせで悠然と通る、白髪天窓の老紳士、これは御前と一同が座を譲るこそ道理なれ。
— 泉鏡花 『貧民倶楽部』 青空文庫
怒髪天を衝くばかりの勢であった私は一たまりもなく慄え上った。
— 夢野久作 『ドグラ・マグラ』 青空文庫
ちゃんとネタが上っているんだぞ」 それは真に怒髪天を衝くといった形相だった。
— 夢野久作 『冥土行進曲』 青空文庫
「……ウヌッ……」 と怒髪天を衝いた巨漢が、私の耳の上に一撃加えようとするのを、私はヘッドスリップ式に首を屈げたが、その隙に両腕を強く振ると、左右の二人が肩の関節を外して悲鳴を上げた。
— 夢野久作 『冥土行進曲』 青空文庫