束ね髪
たばねがみ
名詞
標準
文例 · 用例
――杜若の花を小褄に、欠盥で洗濯をしている、束ね髪で、窶々しいが、(その姿のゆうにやさしく、色の清げに美しさは、古井戸を且つ蔽いし卯の花の雪をも欺きぬ。
— 泉鏡花 『河伯令嬢』 青空文庫
」「ああああ、」と束ね髪が少し動いて頷く。
— 泉鏡花 『式部小路』 青空文庫
常に其を、束ね髪にしてカツシと銀の簪一本、濃く且つ艶かに堆い鬢の中から、差覗く鼻の高さ、頬の肉しまつて色は雪のやうなのが、眉を払つて、年紀の頃も定かならず、十年も昔から今にかはらぬといふのである。
— 泉鏡花 『処方秘箋』 青空文庫
……やつれた束ね髪ででもありましょうか、薄暗い行燈のもとに筆をとっている、ゆかしい、あわれな、寂しい姿が、何となく、なつかしく目に映る。
— 泉鏡花 『雪柳』 青空文庫
」 と軽い返事で、身軽にちょこちょこと茶の間から出た婦は、下膨れの色白で、真中から鬢を分けた濃い毛の束ね髪、些と煤びたが、人形だちの古風な顔。
— 泉鏡花 『国貞えがく』 青空文庫
歯を染めた、面長の、目鼻立はっきりとした、眉は落さぬ、束ね髪の中年増、喜蔵の女房で、お品という。
— 泉鏡花 『三尺角』 青空文庫
飾りのない束ね髪に、白い上衣を着たあなたが項垂れたまま、映画をまるで見ていないようなのも悲しかった。
— 田中英光 『オリンポスの果実』 青空文庫
うっかり道に迷いまして」「おやマアそれはお気の毒、野宿するより少しはまし、よろしくばお泊まりなさいまし」 束ね髪の細面、痩せた身長の高い女である。
— 国枝史郎 『任侠二刀流』 青空文庫