温健
おんけん
名詞
標準
文例 · 用例
若い新趣味の人には食ひ足らず、古い老人には漢詩的風情がなさすぎる所から、一般に伊香保の愛顧者は温健な婦人に多い。
— 萩原朔太郎 『石段上りの街』 青空文庫
温健な事よりは、矯激な事を悦ぶ。
— 幸田露伴 『努力論』 青空文庫
温健の好人物と云ふ事で、其方はすぐ方付いて仕舞つた。
— 夏目漱石 『それから』 青空文庫
温健の好人物と云う事で、その方はすぐ片付いてしまった。
— 夏目漱石 『それから』 青空文庫
温健派の山内容堂は、幕府の命運既に尽きたるを察して、幕府をしてその終りを全うせしむる意味で、大政奉還の止むなき所以を説いた建白書を、慶喜に呈した。
— 菊池寛 『鳥羽伏見の戦』 青空文庫
之等の飛報が大阪城に達すると、激昂していた人心が更に油をかけられるわけで、温健なる慶喜も、遂に討薩の表を作って、上洛することに決した。
— 菊池寛 『鳥羽伏見の戦』 青空文庫
然れども巻頭の中館松生君が私徳論の如きは、其文飛動を欠き精緻を欠くと雖ども、温健の風、着実の見、優に彼の気取屋党に一頭地を抜く者と被存候。
— 石川啄木 『渋民村より』 青空文庫
そして、此の休養的教養を力説した事が、何事にも精神的で個人的で且つ謂わゆる温健な、エレン・ケイの特徴なのである。
— 大杉栄 『新しき世界の為めの新しき芸術』 青空文庫