脱ぎ去る
ぬぎさる
動詞
標準
文例 · 用例
私は、祖先から着せられた私の着物を脱ぎ去ることに努め、そんなものに拘泥しないつもりでゐるのであつたが、現れると忽ち打ちひしがれてしまふ自分を軽蔑し続けてゐるものゝ、斯んな通知に接すると、何も彼も打ち棄てゝ、のこのこと出かけて来るのである。
— 牧野信一 『熱い風』 青空文庫
黒吉は、自分でさえ、このひねくれた気持を知りながら、尚葉子への愛慕と伴に、どうしても、脱ぎ去る事が、出来なかった。
— 蘭郁二郎 『夢鬼』 青空文庫
日一日とわれわれの着物は着る者の性格の印銘をうけてわれわれ自身に同化し、ついにわれわれはちょうどわれわれの肉体を棄てる時でもあるかのようにちゅうちょと医療手当となにがしかの儀式なしにはそれを脱ぎ去ることをしぶるのである。
— WALDEN, OR LIFE IN THE WOODS 『森の生活――ウォールデン――』 青空文庫
「粋」とは、米へんの、精とか粋とかいう言葉があるように、米がその「もみ」をとり「かわ」をとり、青光りするほどその「ぬか」をとって、真裸かのもの、裸々堂々と、すべての飾りを脱ぎ去ることなのである。
— 中井正一 『美学入門』 青空文庫
僕の所謂、窮窟なチョッキを脱ぎ去ることを最後まで肯じなかつた。
— 佐藤春夫 『芥川龍之介を哭す』 青空文庫
長い回廊を通って武装した女性の前に降り立った時、女性は私にこう言った:「そなたが着たる寝巻きを脱ぎ去るのだ。
— A. キングスフォード A. Kingsford 『夢日記』 青空文庫