虚脱状態
きょだつじょうたい
名詞
標準
state of lethargy
文例 · 用例
普通なら、彼は復員直後の無気力な虚脱状態のまま、一種、根こぎにされた人となって、ぼんやり日を送ったところだろうが、深夜雨の四ツ辻で、裸の娘を拾ったという偶然は、次々に偶然を呼んで、まるで欠伸をする暇もないくらい、目まぐるしい一昼夜を過したのだ。
— 織田作之助 『夜光虫』 青空文庫
恐らく気が狂うか全くの虚脱状態になってしまうだろう。
— 織田作之助 『中毒』 青空文庫
石田が待合へ戻って来ると、再び情痴の末の虚脱状態。
— 織田作之助 『世相』 青空文庫
政治家も軍人も財閥も技術者も科学者も、この驚異的事態を真に了解した者は、いずれも皆茫然自失の結果、虚脱状態となってしまった。
— 海野十三(丘丘十郎) 『地球発狂事件』 青空文庫
一定の時期さうし状態がつづき、その次に來たその當時のやうな虚脱状態はどうにも仕樣がなかつた。
— 島木健作 『盲目』 青空文庫
現実その証拠には、内臓が損われて居りませんし、また、事実些程の出血がなかったにも拘らず、てっきり大出血を思わせるような虚脱状態が現われて居ります」と寂蓮尼はキッパリと云い切ってから、「そうしますと貴方は、ハニッシュの天啓録をお読みにはならなかったのですね。
— 小栗虫太郎 『夢殿殺人事件』 青空文庫
終戦直後はみんなが生ける屍のように虚脱状態にあったので、ほんとうにうっかり処分されてしまったのかも知れなかった。
— 海野十三 『骸骨館』 青空文庫
私はそこからうまれたひどい虚脱状態の後、私一個の生命に対して愛やあわれや深い意味ある感動を、全く失ってしまうことが、かえって、私の生命をひっぱっていてくれるように思えばよいのだと考えなおした。
— 久坂葉子 『灰色の記憶』 青空文庫