預金者
よきんしゃ
名詞
標準
depositor
文例 · 用例
父は大家の若旦那に生れついて、家の跡取りとなり、何の苦労もないうちに、郷党の銀行にただ名前を貸しといただけで、その銀行の破綻の責を一家に引受け、預金者に対して蔵屋敷まで投げ出したが、郷党の同情が集まり、それほどまでにしなくともということになり、息子の医者の代にはほぼ家運を挽回するようになった。
— 岡本かの子 『雛妓』 青空文庫
だが、取付を食って困るのは、銀行よりも預金者だった。
— 横光利一 『上海』 青空文庫
この預金の量が、専務の食い込みを償うものとしたならば、預金者は救われるのだ。
— 横光利一 『上海』 青空文庫
たとえて言えば、銀行の頭取が投資に失敗して預金者に迷惑をかけるようだったら、ぞうり一足まちがわない番頭さんのほうが偉いというようなものだ。
— 永井隆 『この子を残して』 青空文庫
ところで、金融関係も預金者側もだれひとり知らぬうちに、沼間氏はいつの間にか一文なしになり、銀行の経済状態までが危殆に瀕していたのである。
— 社交室 『キャラコさん』 青空文庫
「そのトランクには、現金と有価証券で百万円以上入って居るだろう、それは、血の涙で権堂を怨んで居る、何十万の預金者達に分けてやる大事な金だ、気をつけて本署へ運んでくれたまえ」 するだけの事をして了った花房一郎、静かに司郎を顧みて、こう言います。
— 野村胡堂 『悪人の娘』 青空文庫
せめて元金の何割でも何分でも、出来るだけ多く、気の毒な預金者達に返してやらなければならなかったのです。
— 野村胡堂 『悪人の娘』 青空文庫
あれで、権堂に騙されて、虎の子を捲き上げられた数十万の預金者達も、少しは潤おうことになるでしょう、それに比べると、権堂を捕えたのは、ホンの景物です、捕えようと思えば、もう十日も前に捕えられたんですから……。
— 野村胡堂 『悪人の娘』 青空文庫