辺雑
へんぞう
名詞
標準
文例 · 用例
農耕の道を自分が先ず之を学んで之を知って、それから民を教え導こうとしたのであろうが、如何に身辺雑事に多能であった孔子に対しても、このような問いは真に不当である。
— 幸田露伴 『一貫章義(現代訳)』 青空文庫
身心おちついて、しづかに身辺雑事を観察鑑賞。
— 種田山頭火 『其中日記』 青空文庫
“自省録”“秋葉小路の人人” (身辺雑記風に) 旧作二首一杯の茶のあたゝかさ身にしみて こゝろすなほに子を抱いて寝る 噫、忘き弟よ今はたゞ死ぬるばかりと手をあはせ 山のみどりに見入りたりけむ六月十日 曇。
— 種田山頭火 『其中日記』 青空文庫
世界観あり、哲学あり、宗教観あり、文芸批評あり、時評あり、慨世あり、経綸あり、論策あり、身辺雑感あり、過去の追憶あり、といった有様で、よく読んでいただけば何かの参考にはなろうかと思っております。
— 尾崎秀実 『遺書』 青空文庫
「話」らしい話のない小説は勿論|唯身辺雑事を描いただけの小説ではない。
— 芥川龍之介 『文芸的な、余りに文芸的な』 青空文庫
「常盤樹」にしろさらに「鼠をあわれむ」「炉辺雑興」「労働雑詠」等に到って、この詩人が、小諸の農村生活の日常に結びつくことで、こんなに自然を観る態度が異って来たかとおどろくばかりのものがある。
— 宮本百合子 『藤村の文学にうつる自然』 青空文庫
作者は、過去のブルジョア作家連が、その身辺雑記や折々の写真やらで示す所謂「作家生活」というものを自身の生活にもあてはめようと思い、一面には、そういう作家生活なしに作品はかけぬという激しい不安に捕われたかのようにも想像される。
— ――文学と生活との関係にふれて―― 『見落されている急所』 青空文庫
吾国の自然主義小説がいつしか身辺雑記的な心境小説に堕していったことに於て、吾々はこの誤りを経験した筈である。
— 豊島与志雄 『性格批判の問題』 青空文庫