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掻合

掻合
名詞
1
標準
文例 · 用例
机に向った横坐りに、やや乱れたか衣紋を気にして、手でちょいちょいと掻合わせるのが、何やら薄寒そうで風采も沈んだのに、唇が真黒だったは、杜若を描く墨の、紫の雫を含んだのであろう、艶に媚めかしく、且つ寂しく、翌日の朝は結う筈の後れ毛さえ、眉を掠めてはらはらと、白き牡丹の花片に心の影のたたずまえる。
泉鏡花 婦系図 青空文庫
……そこで、袂から紙包みのを出して懐中へ入れて、圧えて、こう抱寄せるようにして、そして襟を掻合せてくれたのが、その茱萸なんだ。
泉鏡花 朱日記 青空文庫
…… 宿へ遁返った時は、顔も白澄むほど、女二人、杓子と擂粉木を出来得る限り、掻合わせた袖の下へ。
泉鏡花 貝の穴に河童の居る事 青空文庫
」 と、小次郎法師の旅僧は法衣の袖を掻合せる。
泉鏡花 草迷宮 青空文庫
が、日の短い頃であるから、五時そこそこというのにもうとっぷりと日が暮れて、間は稲荷山ただ一丁場だけれども、線路が上りで、進行が緩い処へ、乗客が急に少く、二人三人と数えるばかり、大な木の葉がぱらりと落ちたようであるから、掻合わす外套の袖も、妙にばさばさと音がする。
泉鏡花 唄立山心中一曲 青空文庫
雫で、不気味さに、まくっていた袖をおろして、しっとりとある襟を掻合す。
泉鏡花 第二菎蒻本 青空文庫
細りした姿で、薄い色の褄を引上げ、腰紐を直し、伊達巻をしめながら、襟を掻合わせ掻合わせするのが、茂りの彼方に枝透いて、簾越に薬玉が消えんとする。
泉鏡花 神鷺之巻 青空文庫
お貞は襟を掻合せ、浴衣の上前を引張りながら、「それだから昨日も髪を結わない前に、あんなに芳さんにあやまったものを。
泉鏡花 化銀杏 青空文庫