箇寺
かじ
名詞
標準
文例 · 用例
南無身延様、三百六十四段、南無身延様、三百六十五段……」 もう一息で、頂上の境内という処だから、団扇太鼓もだらりと下げて、音も立てず、千箇寺参りの五十男が、口で石段の数取りをしながら、顔色も青く喘ぎ喘ぎ上るのを――下山の間際に視たことがある。
— 泉鏡花 『開扉一妖帖』 青空文庫
「八方、諸国、流転の末が、一頃、黒姫山の山家在の荒寺に、堂守坊主で居りました時、千箇寺まいり、一人旅の中年の美麗な婦人――町内の江戸絵の中と……先ず申して宜しい。
— 泉鏡花 『菊あわせ』 青空文庫
このことが絶好の教訓となって、源空は仏道に精進し、そのため次第に位置も進み、やがて一箇寺の住職となり、老年となるや高僧として、諸人に渇仰されるようになったが、そうなってからも疑問だったのは、(あの時どうして三十郎のために、わしは命を取られなかったのだろう?
— 国枝史郎 『一枚絵の女』 青空文庫
京都に御朱印寺と称するもの百余箇寺あり。
— 與謝野禮嚴 『禮嚴法師歌集』 青空文庫
千箇寺參りでも本當に千軒國しなければなりませんが、さうでなしに、たゞ千箇寺參りと云つて物を貰つて歩くだけのがある。
— 三田村鳶魚 『物貰ひの話』 青空文庫
仲ヶ間六部と同じく、千箇寺參りの方にもいゝ加減ぶしのがありました。
— 三田村鳶魚 『物貰ひの話』 青空文庫
奈良遷都の際すでに四十八箇寺あったという奈良の寺々は、このころはもう倍にはなっていたであろう。
— 和辻哲郎 『古寺巡礼』 青空文庫
」「幽澤坊主が、昨夜|托鉢に行つて――」「あんな色坊主でも托鉢に出るのか」「一|箇寺の住職ぢやないから、食ふためには托鉢もやるでせう。
— 歎きの幽澤 『錢形平次捕物控』 青空文庫