玉代
ぎょくだい
名詞
標準
time charge for a geisha
文例 · 用例
ある晩も、やっぱり蒼い灯の船に買われて、その船頭衆の言う事を肯かなかったので、こっちの船へ突返されると、艫の処に行火を跨いで、どぶろくを飲んでいた、私を送りの若い衆がな、玉代だけ損をしやはれ、此方衆の見る前で、この女を、海士にして慰もうと、月の良い晩でした。
— 泉鏡花 『歌行燈』 青空文庫
銀子は岩谷に呼ばれて方々遠出をつけてもらっていたが、分けの芸者なので、丸抱えほど縛られてもいず、玉代にいくらか融通を利かすことも、三度に一度はしていた。
— 徳田秋声 『縮図』 青空文庫
その右側の妓の眼鼻立ちが鶴原の未亡人にソックリのように見えたので、私は思わず微笑しながら近付いて名前をきいたら右側のは「美千代」、左側のは「玉代」といった。
— 夢野久作 『あやかしの鼓』 青空文庫
山王下の赤坂亭には好きな女もゐるが、玉代や飮食費が大分溜つてゐて、行くたんびにそれを催促されるのがこころ苦しい。
— 發展 『泡鳴五部作』 青空文庫
すると妻君|箪笥の抽斗から料理屋の受取書を出して、これは先日|貴郎のお召物を畳んだ時|袂から落ちましたが料理代の外に芸者の玉代と祝儀立替二円と書いてあります。
— 秋の巻 『食道楽』 青空文庫
一念通じて、彼女が先ず一万五千円の玉代をもらいうけ、かくて、彼の所持金は九万八千円になったが、それ以下には減っていないということだから、ほかの差入れは未だにケンが見えないのである。
— 湯の町エレジー 『安吾巷談』 青空文庫
その頃芸者買の勘定どの位かと考ふるに、待合席料一円、芸者|祝儀枕金共二円、玉代一本二十五銭、女中祝儀三拾銭を以て最低とす。
— 永井荷風 『桑中喜語』 青空文庫
四 慶三はお千代をば二円の御祝儀一時間二十五銭の玉代で買っていた時すら既にかくの如くであった。
— 永井荷風 『夏すがた』 青空文庫