語り伝え
かたりつたえ
名詞
標準
文例 · 用例
」と津田氏の心懐を美しく語り伝え、もちろん矢島の名前などもいっさい出さず、ただ、こんな誤解を周さんのために消滅して下さるようにとお願いした。
— 太宰治 『惜別』 青空文庫
全世界、どこの土地でも、私の短い一生を言い伝えられる処には、必ず、この女の今日の仕草も記念として語り伝えられるであろう」そう言い結んだ時に、あの人の青白い頬は幾分、上気して赤くなっていました。
— 太宰治 『駈込み訴え』 青空文庫
日本でも、むかしから、猫が老婆に化けて、お家騒動を起す例が、二、三にとどまらず語り伝えられている。
— 太宰治 『女人訓戒』 青空文庫
誰にも知られぬ或る日、或る一隅に於ける諸君の美しい行為は、かならず一群の作者たちに依って、あやまたず、のこりくまなく、子々孫々に語り伝えられるであろう。
— 太宰治 『一つの約束』 青空文庫
保胤の兄保憲は十歳|許の童児の時、法眼既に明らかにして鬼神を見て父に注意したと語り伝えられた其道の天才であり、又保胤の父の忠行は後の人の嘖々として称する陰陽道の大の験者の安倍晴明の師であったのである。
— 幸田露伴 『連環記』 青空文庫
それで保胤は性来慈悲心の強い上に、自ら強いてさえも慈悲心に住していたいと策励していたことであろうか、こういうことが語り伝えられている。
— 幸田露伴 『連環記』 青空文庫
いやいや、それは間違い、親分ではない商売上敵じゃそうな、と我れ知り顔に語り伝えぬ。
— 幸田露伴 『五重塔』 青空文庫
独り、静かに、大きく、寂しく……大密林だった札幌原野の昔を語り伝えようとするもののごとく、黄ばんだ葉に鬱蒼と飾られて……園はこの樹を望みみると、それが経てきた年月の長さを思った。
— 有島武郎 『星座』 青空文庫