応小
おうしょう
名詞
標準
文例 · 用例
彼はそんな不快なことを思い出して畜生、忌々しいと再び呟きつつ、兎に角一応小高い所まで出て見ねばなるまいと考えをきめ、いくらか坂になっている小路をさして又とぼとぼ歩き出した。
— 金史良 『天馬』 青空文庫
千枚近い長篇を熱心に書き通したことは作家としての技術を習熟さすためには大変に役に立った、この作品が比較的好評であったこともあって、それから後いろいろな短篇中篇を書きましたが、どんな題材でも当時の私が書こうとした範囲のものでは一応小説として読ませるような技術がつきました。
— 宮本百合子 『「伸子」について』 青空文庫
城内の勤番のなかに覚えのある者で、一応小林と手を合せない者はないはずであります。
— 伯耆の安綱の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
やがて半月あまりを経たりしに突然福地家の執事|榎本破笠子より予て先生への御用談一応小生より承り置べしとの事につき御来車ありたしとの書面に接し即刻番地を目当に同じく木挽町の河岸通なる破笠子が寓居に赴きぬ。
— 永井荷風 『書かでもの記』 青空文庫
小生の我儘を申さば一応小生に御打合せ被下まじくや。
— 高浜虚子 『子規居士と余』 青空文庫
大きな発作から数日を経て一応小康を得たと言つた感じで、あたりの道具の配置その他、この前とはなんとなく違つてゐる。
— 三好十郎 『浮標』 青空文庫
私の座右に置くレコードは時にシューベルトになり、時にブラームスになり、時にヘンデルになるが、恒久不変の感激で、私の生活を和めてくれ、不断の慰藉を投げかけてくれるのは、一応小むずかしき外貌を持つ、バッハの理知的な音楽だったのである。
— 野村胡堂 『楽聖物語』 青空文庫
これは一応小言を言はなければ律気な富沢に対して済まぬ。
— 佐藤春夫 『或る文学青年像』 青空文庫