評文
ひょうぶん
名詞
標準
文例 · 用例
)それともも少し上等になると、例へばヴィオロンの批評には、「まづ、ボーイングはと……つまりボーイングなる眼点よりしてこの提琴演奏家はと……」といつた具合らしく、発表された批評文恰かも生理衛生の答案みたいなのがあるのである。
— 中原中也 『音楽と世態』 青空文庫
十四日、丙辰、去る八日の絵合の事、負方所課を献ず、又遊女等を召し進ず、是皆児童の形を摸し、評文の水干に紅葉菊花等を付けて、之を著し、各郢律の曲を尽す、此上芸に堪ふる若少の類延年に及ぶと云々。
— 太宰治 『右大臣実朝』 青空文庫
べーリンスキーの批評文なども愛読していた時代だから、日本文明の裏面を描き出してやろうと云うような意気込みもあったので、あの作が、議論が土台になってるのも、つまりそんな訳からである。
— 二葉亭四迷 『予が半生の懺悔』 青空文庫
また彼女は、彼の小説に与へられた批評文などまで漁つて、斯んな理屈をつけてやつつけてゐやがらとか、特殊な世界だつて!
— 牧野信一 『「尾花」を読みて』 青空文庫
川端康成の月評文などから僕に関して僕は名状しがたき不快をおぼえた。
— 牧野信一 『浪曼的月評』 青空文庫
余は平生學海居士が儒家らしき文氣と馬琴を承けたる健筆に欽羨するものなるが、罪と罰に對する居士の評文の餘りに居士を代表する事の多きには聊か當惑するところなき能はざりし。
— 北村透谷 『「罪と罰」の殺人罪』 青空文庫
「批評文学」などという呼び名を生んだ随筆的批評の傾向さえ現れて、批評家たちは十何年も昔平林初之輔や青野季吉、蔵原惟人等によって、やっと、客観的な文芸の批評の基準がきずかれた貴重な到達点を、放棄してしまった。
— 宮本百合子 『婦人と文学』 青空文庫
この時期に日本の文学は、人間肯定の行手に様々の障害をみて、文芸評論は骨格を失い、批評文学という名で呼ばれる主観的な断想表現の道へ歩み入った。
— 宮本百合子 『子供の世界』 青空文庫