畚
ふご異読 もっこ・もっこう・いしみ
名詞
標準
straw mat used as a bag for carrying earth
文例 · 用例
防寒靴は雪の中へずりこみ、歩くたびに畚のようにがく/\動いた。
— 黒島傳治 『氷河』 青空文庫
普請小屋と、花崗石の門柱を並べて扉が左右に開いて居る、門の内の横手の格子の前に、萌黄に塗った中に南と白で抜いたポンプが据って、その縁に釣棹と畚とがぶらりと懸って居る、真にもの静かな、大家の店前に人の気勢もない。
— 泉鏡花 『三尺角』 青空文庫
小さい畚にそれを入れて、川柳の細い枝を折取って跳出さぬように押え蔽った少年は、その手を小草でふきながら予の方を見て、 小父さん、また餌をくれる?
— 幸田露伴 『蘆声』 青空文庫
肩にした竿、手にした畚、筒袖の裾短かな頬冠り姿の小さな影は、長い土堤の小草の路のあなたに段※然たるその様。
— 幸田露伴 『蘆声』 青空文庫
時に、釣れましたか、獲物を入れて、片手に提ぐべき畚は、十八九の少年の、洋服を着たのが、代りに持って、連立って、海からそよそよと吹く風に、山へ、さらさらと、蘆の葉の青く揃って、二尺ばかり靡く方へ、岸づたいに夕日を背。
— 泉鏡花 『悪獣篇』 青空文庫
」 と今更ながら畚を覗くと、冷い磯の香がして、ざらざらと隅に固まるものあり、方丈記に曰く、ごうなは小さき貝を好む。
— 泉鏡花 『悪獣篇』 青空文庫
八 先生は見ざる真似して、少年が手に傾けた件の畚を横目に、「生憎、沙魚、海津、小鮒などを商う魚屋がなくって困る。
— 泉鏡花 『悪獣篇』 青空文庫
獲物の有無でおもしろ味に変はないで、またこの空畚をぶらさげて、蘆の中を釣棹を担いだ処も、工合の可い感じがするのじゃがね。
— 泉鏡花 『悪獣篇』 青空文庫