駆出す
かりだす
動詞
標準
文例 · 用例
……そうかと思うと、今になって一目散に駆出すのがある。
— 泉鏡花 『妖術』 青空文庫
風にもめげずに皆駆出すが、ああいう児だから、一人で、それでも遊戯さな……石盤へこう姉様の顔を描いていると、硝子戸越に……夢にも忘れない……その美しい顔を見せて、外へ出るよう目で教える……一度逢ったばかりだけれども、小児は一目顔を見ると、もうその心が通じたそうよ。
— 泉鏡花 『朱日記』 青空文庫
)か、何か、哄と吶喊を上げて、小児が皆それを追懸けて、一団に黒くなって駆出すと、その反対の方へ、誰にも見着けられないで、澄まして、すっと行ったと云うが、どうだ、これも変だろう。
— 泉鏡花 『朱日記』 青空文庫
すたすたとけたたましい出入りの跫音、四ツ五ツ入乱れて、駆出す……馳込むといったように、しかも、なすりつけたように、滅入って、寮の門が慌しい。
— 泉鏡花 『吉原新話』 青空文庫
元来慌てもののせっかちの癖に、かねて心臓が弱くて、ものの一町と駆出すことが出来ない。
— 泉鏡花 『開扉一妖帖』 青空文庫
お待合わせを約束の仲|町を出た、あの大時計が雪の塔、大吹雪の峠の下に、一人旅で消えそうに彳っていらっしゃるのが目さきに隠現くもんですから、一息に駆出すようにして来たんです。
— 泉鏡花 『薄紅梅』 青空文庫
」 と若い女の声がすると、かたかたと駆出す音、呉服橋を、やや離れた辻のあたり。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
井戸端で水を浴びたり、合長屋の障子を、ト唾で破いて、その穴から舌を出したり、路地の木戸を石※でこつこつやったり、柱を釘で疵をつけたり、階子を担いで駆出すやら、地蹈鞴を蹈んで唱歌を唄うやら、物真似は真先に覚えて来る、喧嘩の対手は泣かせて帰る。
— 泉鏡花 『黒百合』 青空文庫