底気味
そこきみ
名詞
標準
文例 · 用例
」 これを聞ける乗り合いは、さなきだに、何者なるか、怪しき別品と目を着けたりしに、今この散財の婦女子に似気なきより、いよいよ底気味悪く訝れり。
— 泉鏡花 『義血侠血』 青空文庫
でなければ何とも知れない底気味悪い遠方のものが云っているのだ。
— 岡本かの子 『金魚撩乱』 青空文庫
したがもし万事承知の上で誑かされたふうをしていられるなら、こんな底気味悪くも頼母しいお方はない、どちらにしても、とつおいつのお慕わしさ、恋しさが募れば化狐より本性の女ごころのうぶに還り、いっそこの上は真実この身の正体をと……。
— 岡本かの子 『狐』 青空文庫
そして間もなく地軸を捻じ切るような底気味の悪い大音響が天地を支配して、洪水のように火焔は空に吐きかけるのだ。
— 岡本かの子 『宝永噴火』 青空文庫
わざと打解けて、底気味の悪い紳士の胸中を試みようとしたお雪は、取附島もなく悄れて黙った。
— 泉鏡花 『黒百合』 青空文庫
十年ばかりも前のこと、場所も意外なり、境遇も変っているから、滝太郎の方では見忘れて、何とも覚えず、底気味が悪かった。
— 泉鏡花 『黒百合』 青空文庫
妾の再び三たび頼み聞えしには答えずして、徐かに沈みたる底気味わるき調子もて、かかる大それたる事に加担する上は、当地の警察署に告訴して大難を未萌に防がずばなるまじという。
— 福田英子 『妾の半生涯』 青空文庫
親佐はことに冷静な底気味わるい態度で夫婦の別居を主張した。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫