雌犬
めすいぬ
名詞
標準
文例 · 用例
鼻や尻尾に白いところを残し、全体が褐色の毛並をしている、この雌犬は人の顔色をうかがうことに敏感であった。
— 原民喜 『吾亦紅』 青空文庫
褐色の毛並をした、その懶惰な雌犬は魚芳のゴム靴の音をきくと、のそのそと立上って、鼻さきを持上げながら自転車の後について歩く。
— 原民喜 『翳』 青空文庫
きらわれものの女白浪、それもお前というお人を一度見てからは、意馬心猿とやらが浅間しく乗り移った、さかりのついた雌犬同然さ――それで、悪いかえ?
— 三上於菟吉 『雪之丞変化』 青空文庫
その結果、雌犬の方が雄犬よりも一般に嗅覚が鋭敏であり、老いたる犬よりも、若い犬の方が鋭敏であることを知りました。
— 小酒井不木 『新案探偵法』 青空文庫
四 ちょうどその前日、場末で連れ出して来た――いや、厳密に言えば盗み出して来た――一疋の比較的若い雌犬が居りましたから、鯉坂君は、その犬を実験につかうことに決心しました。
— 小酒井不木 『新案探偵法』 青空文庫
その男は言う迄もなく、鯉坂君が盗んで来た雌犬の所有者でありました。
— 小酒井不木 『新案探偵法』 青空文庫
丁度、交尾期の雄犬が、その鋭い嗅覚で雌犬の存在を知るように、行手では、どの男もどの男も顔をあげて彼女を迎えた。
— 矢田津世子 『罠を跳び越える女』 青空文庫
犬が母娘でついて来て、どうでしょう、気のつよい雌犬が八百屋に出現して、ムキになってチンの首ったまにかぶりつきました。
— 一九四四年(昭和十九年) 『獄中への手紙』 青空文庫