いやが上にも
いやがうえにも
副詞
標準
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文例 · 用例
更に、もう一つ指摘するならば、一九三〇年頃より「日米若し戦はゞ」とか「米国恐るゝに足らず」とか云った日米戦争未来記が市場に洪水している如く、日露戦争前にあっては、日露戦争未来記が簇出して、いやが上にも敵愾心をあおり立てゝいたことである。
— 黒島傳治 『明治の戦争文学』 青空文庫
その災禍を起こさせたもとの起こりは天然に反抗する人間の細工であると言っても不当ではないはずである、災害の運動エネルギーとなるべき位置エネルギーを蓄積させ、いやが上にも災害を大きくするように努力しているものはたれあろう文明人そのものなのである。
— 寺田寅彦 『天災と国防』 青空文庫
緑色の絹笠のかかったラムプは、海の底のような憂鬱な光を部屋の隅々まで送って、どこともしれない深さに沈んでいくようなおぬいの心をいやが上にも脅かした。
— 有島武郎 『星座』 青空文庫
森はいやが上にも黒かった。
— 岡本かの子 『窓』 青空文庫
角の立つ様な隆鼻を中心にして、なかだかな、おとがいの張った男らしい顔の、怜悧相な額には、油もつけず幾日も梳らない為に、煤気を帯びた様な黒い、たっぷりした散髪が掩いかぶさって居る為に思いきって切れ長なま瞼の底に、濃情と憂愁とを交ぜ湛えた様な両眼の色がいやが上にも奥深く見えるのであった。
— 岡本かの子 『かやの生立』 青空文庫
……よくよく深く企んだと見えて――見い、その婦、胸も、膝も、ひらしゃらと……(お沢、いやが上にも身を細め、姿の乱れを引つくろい引つくろい、肩、袖、あわれに寂しく見ゆ)余りと言えば雪よりも白い胸、白い肌、白い膝と思うたれば、色もなるほど白々としたが、衣服の下に、一重か、小袖か、真白い衣を絡いいる。
— 泉鏡花 『多神教』 青空文庫
(後記)王朝時代の末期になつて、文化の爛熟による人間の官能と情感がいやが上にも発達し、現実的には高度の美意識による肉的なものを追ひ求める一方、歓楽極まつて哀愁生ずる譬へ通り、人々、省己嫌厭の不安から崇高な求道の志を反比例に募らせる。
— 岡本かの子 『老主の一時期』 青空文庫
この地震は安政の地震に匹敵する大地震で、その数日前即ち十一月十四日の外には、その前ぶれのように四谷塩町から出た火が、青山、赤坂、麻布、品川を焼いて、元禄の豪奢に酔うていた江戸市民に警告を与えたが、地震の後でもまた火事があって、怯えている市民の心をいやが上にも怯えさした。
— 田中貢太郎 『日本天変地異記』 青空文庫
作例 · 標準
最新の報道はいやが上にも危機感を強めさせた。
その状況の深刻さはいやが上にも感じられていた。
市民の不満はいやが上にも高まっていた。
経営危機はいやが上にも深刻化していた。