前進的
ぜんしんてき
名詞
標準
文例 · 用例
好子の顔や手や姿や、色々の場合の表情の美しさと、爽やかな無邪気な性情と、情熱的芸術欲、それと子供への愛、責任感、そんなものに彼は陶酔し惑溺し、引立てられ鞭たれながら、前進的な壮心を鼓舞されてゐた。
— 徳田秋聲 『水ぎわの家』 青空文庫
それのみでなく彼は、主観的であるか客観的であるかといふことにおいて、時代が後退的であるかそれとも前進的であるか、といふことの表徴を見出し得ると信じた。
— 三木清 『ゲーテに於ける自然と歴史』 青空文庫
「後退と解体とのうちにある凡ての時代は主観的である、これに反し凡ての前進的な時代は客観的な方向をもつてゐる。
— 三木清 『ゲーテに於ける自然と歴史』 青空文庫
輻射圧の概念が導入され、またある特定の場合におけるエントロピーの減少が証明されるようになってから、そこで始めて、天体の発達に前進的と後退的の推移があるという、インドの哲学者等が悠遠な昔から既に夢みていた観念を徹底的に追究することが可能となったのである。
— スワンテ・アウグスト・アーレニウス Svante August Arrhenius 『宇宙の始まり』 青空文庫
『文学界』の人々の若々しく醇朴なロマンティシズムは、一葉の芸術に影響した過程をみても明らかなとおり、本来は前進的な意味に立つものであった。
— 宮本百合子 『婦人と文学』 青空文庫
今日の社会と文学の現実はいくらかでも、社会的自覚をもって、前進的に生きようと欲し、前進的な文学を生みたい望をもっているものにとって、個人的な、才能主義で解決するようなものではない。
— ――創造と評論活動の問題―― 『両輪』 青空文庫
しかもそれは一人の前進的な人間の小市民的インテリゲンツィアからボルシェビキへの成長の過程であり、日本のプロレタリア解放運動とその文学運動の歴史のひとこまでもある。
— ――宮本顕治の文芸評論について―― 『巖の花』 青空文庫
一九四八年の夏に、前進的な日本の意欲が平和と生活と文化のまもりのために意味ふかい一歩をふみだしつつあるとき、崩壊と虚無の選手であった作家太宰治がその人らしいやりかたで生涯をとじたことは、決して単なる偶然ではなかった。
— ――日本の文化のまもり―― 『三年たった今日』 青空文庫