顔棚
かおたな
名詞
標準
文例 · 用例
前に夕顔棚ありて下に酒酌む自転車乗りの一隊、見るから殺風景なり。
— 寺田寅彦 『半日ある記』 青空文庫
涼しさを知らない大陸のいろいろな思想が、一時ははやっても、一世紀たたないうちに同化されて同じ夕顔棚の下涼みをするようになりはしないかという気がする。
— 寺田寅彦 『涼味数題』 青空文庫
わたしの家の畑には唐もろこしもある、小さい夕顔棚もある、虫の声もきこえる。
— 岡本綺堂 『綺堂むかし語り』 青空文庫
それは糸瓜でなく、夕顔の棚の下に農家の夫婦が涼んでいる図で、いわゆる夕顔棚の下涼みであろう。
— 岡本綺堂 『綺堂むかし語り』 青空文庫
それはへちまでなく、夕顔の棚の下に農家の夫婦が凉んでいる図で、いわゆる夕顔棚の下凉みであろう。
— 岡本綺堂 『我家の園芸』 青空文庫
日本の演劇で蛙の声を聞かせる場合には、赤貝を摺り合せるのが昔からの習であるが、『太功記』十段目の光秀が夕顔棚のこなたより現れ出でた時に、例の小田の蛙が満洲式の家鴨のような声を張上げてぎいぎいと鳴き出したらどうであろう。
— 岡本綺堂 『二階から』 青空文庫
説教そこそこにして、彼は夕立の中を朝顔棚の方へ駈出した。
— 島崎藤村 『千曲川のスケッチ』 青空文庫
生命拾いをした広岡学士がよくよく酒に懲りて、夏中奥さん任せにしてあった朝顔棚の鉢も片附け、種の仕分をする時分に成ると、高瀬の家の屋根へも、裏の畠へも、最早激しい霜が来た。
— 島崎藤村 『岩石の間』 青空文庫