閉じ籠もる
とじこもる
動詞
標準
文例 · 用例
諸君はその時、実にあわただしい後悔と一緒に黄昏に似た沈黙がこの書斎に閉じ籠もるのを認められるに相違ない。
— 坂口安吾 『風博士』 青空文庫
孝太郎は次第に自分の書斎にとじ籠るようになった。
— 豊島与志雄 『囚われ』 青空文庫
が、まずさあらぬ体で夕食を済ませると、いつものように常談口を利き合うでもなく、そうかといって、写真の正体を極めぬ間は、書斎にとじ籠る訳にも行かず、双方妙に気拙く睨み合いといった形。
— 江戸川乱歩 『接吻』 青空文庫
だが山頂の気を吸って一人孤独の奥に想い耽った先生には何か娘の青春期の情熱と協力して生涯のうち、いざとなったらそこへ閉じ籠るつもりの心上の別世界を見付けた消息を、こういう言葉で喋ったようにもとれた。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
そして、その工場を手放すことによってかれらの今後の生活は安全らしく、しかも平和らしい殻の中に閉じ籠ることができそうだったからである。
— 佐左木俊郎 『仮装観桜会』 青空文庫
「迦葉尊者は鶏足に袈裟を守って閉じ籠る」という和讃あれば、本邦では普通鶏足山に入定すとしたのだ。
— 鶏に関する伝説 『十二支考』 青空文庫
自分は誰にも愛を求めず、自分自身のなかに閉じ籠るときに最も安らかな心地がする。
— 倉田百三 『愛と認識との出発』 青空文庫
けれども、父が出たあと、ぽっつり独りでホテルの部屋に十二時頃まで閉じ籠ることを考えると、それもあまりぞっとした役廻りとも思えない。
— 宮本百合子 『伸子』 青空文庫