棲
棲
名詞
標準
文例 · 用例
しかもただ一歩で、すぐ捉へることができるやうに、虚偽の影法師で欺きながら、結局あの恐ろしい狂気が棲む超人の森の中へ、読者を魔術しながら導いて行く。
— 萩原朔太郎 『ニイチェに就いての雑感』 青空文庫
ああ わたしの夢によくみる このひと棲まぬ空家の庭の祕密といつもその謎のとけやらぬ おもむき深き幽邃のなつかしさよ。
— 萩原朔太郎 『定本青猫』 青空文庫
さうして僅かばかりの物質――人骨や、齒や、瓦や――が、蟾蜍と一緒に同棲して居る。
— 萩原朔太郎 『宿命』 青空文庫
希望や、空想や、旅情やが、浪を越えて行くのではなく、空間の無限における地平線の切斷から、限りなく單調になり、想像の棲むべき山影を消してしまふ。
— 萩原朔太郎 『宿命』 青空文庫
おそらく我々は、少しばかりの骨片と化し、瓦や蟾蜍と一所に、墓場の下に棲むであらう。
— 萩原朔太郎 『宿命』 青空文庫
海の魚介類は、漁師の漁る灯火の下に、群をなして集つて来るし、山野に生棲する昆虫類は、人家の灯火や弧灯に向つて、蛾群の羽ばたきを騒擾する。
— 萩原朔太郎 『月の詩情』 青空文庫
わが心慰めかねつ更科や姨捨山に照る月を見て月見れば千々に物こそ悲しけれ我身ひとつの秋にはあらねど中庭地白ウシテ樹ニ鴉棲ム。
— 萩原朔太郎 『月の詩情』 青空文庫
僕は好んで洞窟に棲んでるのではない。
— 萩原朔太郎 『僕の孤独癖について』 青空文庫