筆端
ひったん
名詞
標準
tip of a brush or pen
文例 · 用例
字を書くことの上手な人はこういう機会に存分に筆を揮って、自分の筆端からほとばしり出る曲折自在な線の美に陶酔する事もあろうが、彼のごとき生来の悪筆ではそれだけの代償はないから、全然お勤めの機械的労働であると思われる上に、自分の悪筆に対する嫌忌の情を多量に買い込まされるのである。
— 寺田寅彦 『年賀状』 青空文庫
従って私の冷静なるべき客観的紹介の態度は、往々にしてはなはだしく取り乱され、私の筆端は強い主観的のにおいを発散していることに気がつく。
— 寺田寅彦 『ルクレチウスと科学』 青空文庫
筆端のおのずから稜峭たるまた已むを得ざるなり」とそれは書きだしてあった。
— 有島武郎 『星座』 青空文庫
筆端が時々此問題に触れたとも言うべき程である。
— 種田山頭火 『俳句に於ける象徴的表現』 青空文庫
返事は折返し届いて、お前の筆端には自殺を楽むような精神が仄見える。
— 泉鏡花 『おばけずきのいわれ少々と処女作』 青空文庫
就中私は、それ自らが豪勇無比な荒武者となつて、従横無尽に花々しい筆端の刃を揮つて、群がる者共を手玉にとつて薙ぎ倒し、こばから首をちよん切つて、さしもの竜巻村に平和の風を吹かせるといふ、痛快至極な冒険譚であることを知らずに、彼等は、左う云ふと、一様に恍惚の眼を細めて深々と息を吸ひ込んだ。
— 牧野信一 『ダニューヴの花嫁』 青空文庫
彼女のはげしい筆端が深い憤りに震えながら、裕福な家庭の未婚婦人がおかれているおそるべき運命を描き出すとき、読者はその百ページのうちに、突然一種名状しがたい強烈な婦人としての実感がみなぎりわたっていることにおどろかされるのである。
— 宮本百合子 『フロレンス・ナイチンゲールの生涯』 青空文庫
或は恋愛において不幸に陥った女などについて描くとき、自然主義的な筆端は変化して、いつも或る正義感、或る人道的感情で動かされている。
— 宮本百合子 『婦人と文学』 青空文庫
作例 · 標準
詩人の筆端から、美しい言葉が紡ぎ出された。
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彼の思想は、鋭い筆端から表現されている。
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筆端に力を込めて書く。
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