煙草屋
たばこや
名詞
標準
文例 · 用例
煙草はたしか「極上国分」と赤字を粗末な木版で刷った紙袋入りの刻煙草であったが、勿論国分で刻んだのではなくて近所の煙草屋できざんだものである。
— 寺田寅彦 『喫煙四十年』 青空文庫
曲角の漬物屋、ここいらへも探偵が入ったろうと思うと、筋向いのハイカラ造りの煙草屋がある。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
ふと例の煙草屋の金歯の亭主が、箱火鉢を前に、胸を反らせて、煙管を逆に吹口でぴたり戸外を指して、ニヤリと笑ったのが目に附くと同時に、四五人|店前を塞いだ書生が、こなたを見向いて、八の字が崩れ、九の字が分れたかと一同に立騒いで、よう、と声を懸ける、万歳、と云う、叱、と圧えた者がある。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
煙草屋の店でくるくるぱちぱち、一打ばかりの眼球の中を、仕切て、我身でお妙を遮るように、主税は真中へ立ったから、余り人目に立つので、こなたから進んで出て、声を掛けるのは憚って差控えた。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
書生たちは、ぞろぞろと煙草屋の軒を出て、斉く星を仰いだのである。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
直き町の角の煙草屋も見たし、絵葉がき屋も覗いたが、どうもその類のものが見当らない。
— 泉鏡花 『みさごの鮨』 青空文庫
坂の上の煙草屋にて北八嗜む處のパイレートを購ふ。
— 泉鏡花 『彌次行』 青空文庫
しかり、町の中にても、隣より高かりし、わが二階家の、今は平家に建直りて、煙草屋の店開かれたり。
— 泉鏡花 『照葉狂言』 青空文庫