探照
たんしょう
名詞
標準
文例 · 用例
しかし、ただ、私たちだけが、命を安売りするということは、私たちにも、承知ができないことです」 藤原は、最初の探照弾を打っ放した。
— 葉山嘉樹 『海に生くる人々』 青空文庫
これは、旅順攻囲戦という歴史的な客観的現実を愛国的探照燈で照し出したるが如きものである。
— 黒島傳治 『明治の戦争文学』 青空文庫
客観的な戦争は、探照燈の行った部分だけ青く着色されて映るが、探照燈はすべてを一時に照らすことは出来ない。
— 黒島傳治 『明治の戦争文学』 青空文庫
そして若し、別の探照燈で映すならば、現実は、全然ちがった姿に反映するかもしれないのだ。
— 黒島傳治 『明治の戦争文学』 青空文庫
芥川の用いた探照燈は、「肉弾」に用いられてゐる探照燈とはちがうのだ。
— 黒島傳治 『明治の戦争文学』 青空文庫
わたくしが進めば進んだだけわたくしの身に持つ探照灯で照らし出すように、ほゞ一町四方の間の町も灯も人も、嵐の前の花野化されて行きます。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
そしてこの圏の前後左右は、ちょうどわたくしが過去や未来を心の中で憶測したと同じ美しい朦朧を湛えて、わたくしの身に持つ探照灯が照らし進めば照らし破るに任せ、照らし終ればまた元通り、美しい朦朧に閉じ去って、一針の縫目も見せず、相変らずそれは晩春の闇の夜町の遠見になります。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
船橋の探照燈は希薄な沈黙した靄の中に一道の銀のような光を投げて、船はきわめて静かに進んでいた。
— 寺田寅彦 『旅日記から(明治四十二年)』 青空文庫