驀
驀
名詞
標準
文例 · 用例
孤獨な環境の海に漂泊する船の羅針が、一つの鋭どい意志の尖角が、ああ如何に固い冬の氷を突き破つて驀進することよ。
— 萩原朔太郎 『宿命』 青空文庫
今では自動車が荷物を載せて、私の過去の記憶の上を、勇ましくタンクのやうに驀進して行く。
— 萩原朔太郎 『宿命』 青空文庫
汽車は驀然と闇を切り裂いて飛んだ。
— 葉山嘉樹 『乳色の靄』 青空文庫
そして尻をしたたかにぶん殴られたように前方へ驀進した。
— 黒島伝治 『パルチザン・ウォルコフ』 青空文庫
どこかの山中の嶮崖を通る鉄道線路の夜景を見せ、最後に機関車が観客席に向かって驀進するという甚だ物々しいふれだしのあった一景は、実は子供だましのようなものであった。
— 寺田寅彦 『マーカス・ショーとレビュー式教育』 青空文庫
追いかけ呼びもどして三人の見事な口髭、銀色の呼吸を流して、年増女の深い思いが高潮に達したときニコロは私の白いワイシャツの皮膚に彼女の眉墨でもって、レニングラードに向かって驀進する機関車と食用蛙を描いて東洋人が彼女の未来の夫であることを象徴するのであった。
— Love on Drought 『恋の一杯売』 青空文庫
さうして彼は馬を見つけると、それに跳びのつて、驀地に駈けらせた。
— ライネル・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke 『旗手クリストフ・リルケ抄』 青空文庫
それに較べて、いつまでも処女性を持ち、いつになっても感情のまま驀地に行くかの女の姿を見ると、何となく人生の水先案内のようにも感じられた。
— 岡本かの子 『母子叙情』 青空文庫