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辺際

へんざい
名詞
1
標準
文例 · 用例
私はこの窓から、遥に北の天に、雪を銀襴のごとく刺繍した、あの遠山の頂を望んで、ほとんど無辺際に投げたのです、と言った。
泉鏡花 唄立山心中一曲 青空文庫
然しその河は漾々として無辺際から無辺際へと流れて行く。
有島武郎 惜みなく愛は奪う 青空文庫
無窮に無辺際に円く円く遥かに。
北原白秋 畑の祭 青空文庫
帆が辷る、だんだん沖の方へ走つてゆく、帆が辷る無窮に、無辺際に。
北原白秋 畑の祭 青空文庫
熾烈な日光が之を熱して更に熱する時、冷却せる雨水の注射に因って、一大破裂を来たしたかと想う雷鳴は、ぱりぱりと乾燥した音響を無辺際に伝いて、軈て其玻璃器の大破片が落下したかと思われる音響が、ずしんと大地をゆるがして更にどろどろと遠く消散する。
長塚節 太十と其犬 青空文庫
それを便宜のために抽象して離してしまって広い空間を勝手次第に抛り出すと、無辺際のうちにぽつりぽつりと物が散点しているような心持ちになります。
夏目漱石 文芸の哲学的基礎 青空文庫
辺際の空間には、地球より大きな火事がところどころにあって、その火事の報知が吾々の眼に伝わるには、百年もかかるんだからなあと云って、神田の火事を馬鹿にした男である。
夏目漱石 永日小品 青空文庫
蒼白く面高に削り成せる彼の顔と、無辺際に浮き出す薄き雲の※然と消えて入る大いなる天上界の間には、一塵の眼を遮ぎるものもない。
夏目漱石 虞美人草 青空文庫