美林
びりん
名詞
標準
文例 · 用例
奥州六県、六百三十万の民はかくして先人の開発せし特徴ある産業をおろそかにせず、益々これが発達の途を講じ、渡り鳥は永遠にさまよへども、素朴なる東北の民は最早や動かず、米を作つて林檎を売り、鬱蒼たる美林につづく緑の大平原には毛並輝く見事な若駒を走らせ、出漁の船は躍る銀鱗を満載して港にはひるのである。
— 太宰治 『津軽』 青空文庫
殊に列車が博克図を出てからは、窓外にスクスクと伸びた白樺の美林が眺められ、乗客も乗務員ももう何事も忘れて、貪るように朝の空気を肺臓へ送りこんでいた。
— 海野十三 『キド効果』 青空文庫
さて此の一団の乗った列車は、白樺の美林をめぐる二十七曲りをどうやら切り抜けた末、「ぽーッ」 と警笛一声、例の長さ三十町もあるといわれる興安嶺隧道のなかへ潜りこんだ。
— 海野十三 『キド効果』 青空文庫
見ない所か、金峰山の椈や米栂の美林、今ではもう昔の面影をしのぶたよりさえない川端下や梓山の戦場ヶ原の唐松林、十文字峠途上の昼|尚お暗い針葉闊葉の見事な林、皆其中を歩いた許りでなく、白妙岩の上からは、赤沢のもくもくと盛り上った闊葉樹林の緑の波を脚下に俯瞰したのであった。
— 木暮理太郎 『秩父のおもいで』 青空文庫
遠山川や寸又川の鬱蒼たる原始の美林は永久に保存したいと思う。
— 木暮理太郎 『南北アルプス通説』 青空文庫