襖紙
ふすまがみ
名詞
標準
文例 · 用例
紙はあったが、筆は持っていたか、そこまでは気がつかないが、現に、そこに、あなたとちょうど向い合せの処、」 正面の襖は暗くなった、破れた引手に、襖紙の裂けたのが、ばさりと動いた。
— 泉鏡花 『縁結び』 青空文庫
――蝶子は声自慢で、どんなお座敷でも思い切り声を張り上げて咽喉や額に筋を立て、襖紙がふるえるという浅ましい唄い方をし、陽気な座敷には無くてかなわぬ妓であったから、はっさい(お転婆)で売っていたのだ。
— 織田作之助 『夫婦善哉』 青空文庫
それでも、やはり襖紙がふるえるほどの声で歌い、やっとおひらきになって、雪の道を飛んで帰ってみると、柳吉は戻っていた。
— 織田作之助 『夫婦善哉』 青空文庫
安っぽい絵襖紙を見る様なギラギラした感じのする下びた町すじを母の手にすがりついて物なれない人の様に特別な感じをうけながら――。
— 宮本百合子 『芽生』 青空文庫
茶色クローズの表紙で鼠色紙の扉にノート風の細かいペン字で、 (1) 大学図書館ヲ公開スル事 (2) 東洋美術発行ノ事とあり、別行に、これは鉛筆で「電燈タングステン燈よろし」続けて、「木彫専門」「襖紙一式」等各建築関係専門店の名と所書きが並べられている。
— 宮本百合子 『父の手帳』 青空文庫
蠅取紙を横切れば、熊蠅は襖紙の上に出られる筈であった。
— 宮本百合子 『蠅』 青空文庫
さっきも云った隣との区切りの唐紙が、普通の襖紙で貼ってなく、新聞の附録の古くさい美人画や新聞や、そこらに落こちていた雑誌の屑のようなもので貼られていた。
— 宮本百合子 『一太と母』 青空文庫
押入れを開ける、すると襖紙の小さな破れが目についた。
— 田畑修一郎 『医師高間房一氏』 青空文庫