発間
はつかん
名詞
標準
文例 · 用例
……」 辻町は、額をおさえて、提灯に俯向いて、「何と思ったか、東京へ――出発間際、人目を忍んで……というと悪く色気があります。
— 泉鏡花 『縷紅新草』 青空文庫
しかも稲野谷|兵助は、ついぞ先刻、終発間近にこの家を去ったわけではないか。
— 小栗虫太郎 『地虫』 青空文庫
肥つた男は以前御用雑誌の記者をしてゐる頃、加藤男の計らひで支那視察に出掛ける事になり、しこたま旅費も貰つて、そのなかから流行のフロツクコートも一着|拵へたが、出発間際になつて風邪を引込んで、延々になつてゐるうち、つい沙汰止みになつてしまつた。
— 大正五(一九一六)年 『茶話』 青空文庫
主人らしいフロックコートを着た三十代の人は、出発間際の手持無沙汰で、半円を描いた見送り人に対し、車外に立って居る。
— 一九二三年(大正十二年) 『日記』 青空文庫
出発間ぎわに酒匂から五人出たと云って国防婦人団のたすきをかけて女達、男まじりワンさのりこむ。
— 一九三七年(昭和十二年) 『日記』 青空文庫
サイが新聞包からよそゆき下駄を出していると、遠くの闇を衝き破るような勢で始発間もない省線が通る音が風にのって来た。
— 宮本百合子 『三月の第四日曜』 青空文庫
梶さんの出発間際に、公開の舞踊の会がありまして、菊千代は『高尾ざんげ』を出しました。
— ――近代説話―― 『高尾ざんげ』 青空文庫
鸚鵡つて、あのきのふ、鏡ノ夫人が出発間際にご自身で持つてみえた、あの鸚鵡でしたの?
— 『白鳳』第二部 『鸚鵡』 青空文庫