昵
昵
名詞
標準
文例 · 用例
沖に出たらば暗いでせう、櫂から滴垂る水の音は昵懇しいものに聞こえませう、――あなたの言葉の杜切れ間を。
— 亡き児文也の霊に捧ぐ 『在りし日の歌』 青空文庫
二日、癸酉、昵近の祗候人の中、芸能の輩を撰びて結番せらる、学問所番と号す、各当番の日は、御学問所を去らず参候せしめ、面々に時の御要に随ふ、又和漢の古事を語り申す可きの由と云々。
— 太宰治 『右大臣実朝』 青空文庫
廿五日、丙寅、和田平太胤長の屋地、荏柄の前に在り、御所の東隣たるに依りて、昵近の士、面々に頻りに之を望み申す、而るに今日、左衛門尉義盛、女房五条局に属して、愁へ申して云ふ、彼地は適宿直祗候の便有り、之を拝領せしむ可きかと云々、忽ち之を達せしむ、殊に喜悦の思を成すと云々。
— 太宰治 『右大臣実朝』 青空文庫
伯母は蛍雪館が下町に在った時分姉娘のお千代を塾で引受けて仕込んだ関係から蛍雪とは昵懇の間柄であった。
— 岡本かの子 『食魔』 青空文庫
この山は人間が昵み易い山だった。
— 岡本かの子 『富士』 青空文庫
お前の亭主はあの熊と昵近だというじゃあねえか。
— 猫騒動 『半七捕物帳』 青空文庫
「実は、我が昵懇のものであるでの。
— 幸田露伴 『雪たたき』 青空文庫
我に接吻し、我側に來居たるが、まだ二分時ならぬに、はや我に昵み給へり。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫