思い寝
おもいね
名詞
標準
文例 · 用例
赤心報国真荒男が朝廷思ひの忠実心 眼を血に染めて、焼刃見澄ます国のため念ひ痩せつる腸を 筆にそむとて、吾が世ふかしつ仇に向き ※たゝきけむ古人に ならひてこそは、国に仕へめ正宗の大刀の刃よりも、国のため するどき筆の鉾|揮ひみむ国を思ひ寝られざる夜の 霜の色。
— 折口信夫 『橘曙覧評伝』 青空文庫
先生はもう一ツ、胸にあまる日頃の思いをおなじ置炬燵にことよせて、※|春水が手錠はめられ海老蔵は、お江戸かまひの「むかし」なら、わしも定めし島流し、硯の海の波風に、命の筆の水馴竿、折れてたよりも荒磯の、道理引つ込む無理の世は、今もむかしの夢のあと、たづねて見やれ思ひ寝の、手枕寒し置炬燵。
— 永井荷風 『妾宅』 青空文庫