近親者
きんしんしゃ
名詞
標準
near relative
文例 · 用例
病に罹らざるを力むるには、第一に自己の健全ならんを力め、次いで自己の近親者、及び他人の病まざらんことを力むべきであるが、自己一個の力を以ては、自己をすら完全に保護することの出來ぬのが人間の眞相であり實際であるから、病に罹らざることを力むるにも、單獨的にするよりも相互的にせねば其の目的は達せられぬ。
— 幸田露伴 『努力論』 青空文庫
七人の近親者が取囲んで、彼の手足をさすっていた。
— 中島敦 『光と風と夢』 青空文庫
病に罹らないことに努めるのは、第一に自分の健全に努め、次いで自分の近親者や他人に病が混ざらないように努めるべきであるが、自分一個の力では自分すら完全に保護することが出来ないのが、人間の真相であり実際であるから、病に罹らないことに努めるにも単独的にするよりも相互的にしなければその目的は達せられない。
— 幸田露伴 『努力論(現代訳)』 青空文庫
絵も描き、文章に達し、音楽も愛し、しかも音楽(セロ)の演奏ぶりなどにはなかなか近親者に忘れがたい好感を与えるユーモアがあふれていたようである。
— 宮本百合子 『作家のみた科学者の文学的活動』 青空文庫
百数十万人の近親者がある。
— 宮本百合子 『今日の日本の文化問題』 青空文庫
人の指先や乳首や耳朶を切りそぐことが、その近親者にとって、最も残忍な刑と感ぜられるのは、単に苦痛の想像に依るばかりでなく、切りそがれたそれらのものが、愛する人の一部分から、他の不気味なものへと転位する故にも依る。
— 豊島与志雄 『奇怪な話』 青空文庫
彼の近親者の語るところによれば、彼はこの大部の小説の多くを病床に横になつたまま、興のままに筆をとり、興去ればすなはち筆をおくといふ風に、ごく氣ままに、ノン・シャランスに書いたのではないかと思はれる節がある。
— 堀辰雄 『日付のない日記』 青空文庫
吉村忠雄又は次郎生は、自己の匿名を辯護して、「何人であるか當てて見るも面白いだらう」と云つてゐるが、自分には自分の「近親者」の中にこんな馬鹿々々しい人間を發見する事は出來ない。
— 愚者の鼻息 『貝殼追放』 青空文庫