鉢金
はちがね
名詞
標準
文例 · 用例
亀姫 (鉢金の輝く裏を返す)ほんに、討死をした兜ではありませんね。
— 泉鏡花 『天守物語』 青空文庫
十|丁にして尽きた柳の木立を風の如くに駈け抜けたものを見ると、鍛え上げた鋼の鎧に満身の日光を浴びて、同じ兜の鉢金よりは尺に余る白き毛を、飛び散れとのみ※々と靡かしている。
— 夏目漱石 『薤露行』 青空文庫
「われ巨人を切る事三|度、三度目にわが太刀は鍔元より三つに折れて巨人の戴く甲の鉢金の、内側に歪むを見たり。
— 夏目漱石 『幻影の盾』 青空文庫
この時崩れかかる人浪は忽ち二人の間を遮って、鉢金を蔽う白毛の靡きさえ、暫くの間に、旋る渦の中に捲き込まれて見えなくなる。
— 夏目漱石 『幻影の盾』 青空文庫
彼は仰向いて兜の鉢金を伏せたような高い丸天井を眺めた。
— 夏目漱石 『道草』 青空文庫
……くさりかたびらも大切だ、千切れた所はつづるがいい……たすきの白布頭の鉢金、さあさあ人数だけこしらえろ……」 銅兵衛八方へ指図をする。
— 国枝史郎 『剣侠受難』 青空文庫
風邪ぎみの働らくいやな日向ぼこ みどり滝見人に水魔狂ひおつ影見しか 静廼熱の目に太りぼやけぬ鉢金魚 和香女人憎む我目けはしき秋鏡 ※女等病的神経、憎み憤り、幻影を奔放に言い現する事は、昔の女流俳人には絶無といってよい位である。
— 杉田久女 『大正女流俳句の近代的特色』 青空文庫
――して、据物には、何を置くか』『何なりとも』『よし』 直胤は、古兜の鉢金を、壇に据えさせた。
— 吉川英治 『山浦清麿』 青空文庫