紛雑
紛雑
名詞
標準
文例 · 用例
それも熔岩と砂礫の互層や、岩脈のほとばしりを露出して、整然たる成層美を示すところもあるが、多くは手もつけられないほど、砂礫や灰を放擲したようで、紛雑を極めている。
— 小島烏水 『不尽の高根』 青空文庫
これと反対に、紛雑極まりない現実の真直中に分け入り無私と慈悲を行い、和恭勤勉を保って行くという、積極的な現実浄化の仕事こそ、難事中の難事であります。
— 岡本かの子 『仏教人生読本』 青空文庫
○ 皮相の混乱から真相の整生へ、仮象の紛雑から実在の統一へ、物質生活の擾動から精神生活の粛約へ、醜から美へ、渾沌から秩序へ、憎から愛へ、迷ひから悟りへ、……即ち相剋から安定へ。
— 有島武郎 『運命と人』 青空文庫
島村抱月氏(三)11・9(夕) 家庭の紛雑は島村氏を極度の神経衰弱に陥らしめた。
— 大正七(一九一八)年 『茶話』 青空文庫
「戯言は戯言だが、さッきから大分|紛雑てるじゃアないか。
— 広津柳浪 『今戸心中』 青空文庫
なお、或る婦人記者と非常に懇意になっていたし、過去に或る婦人関係の紛雑もありはしたが、私の知ってる限り、それも大したものではなかった。
— 豊島与志雄 『十一谷義三郎を語る』 青空文庫
何かと得るところも甚だ多いのです――第一、夜は静かで紛雑の気分を一掃する。
— 勿来の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
私も平素好めることとて、家事紛雑の傍らにも、ときどきの新刊書籍、女子に関する雑誌などは、絶へず座右を離さず閲覧しておりましたものですから、いつとはなく、泰西の女権論が、私の脳底に徹しまして、何でも日本の婦人も、今少し天賦の幸福を完ふする様にならねばならぬと、いふ考へが起こつて参りました。
— 清水紫琴 『こわれ指環』 青空文庫