辺中
へんちゅう
名詞
標準
文例 · 用例
膳所の近辺中庄村瓦浜に在るが、古くは其地の亀屋といふ家の界内に在つた。
— 折口信夫 『愛護若』 青空文庫
マニラへ連絡に行った河辺中将の消息は知れず、ひょっとするといよいよ日本が無くなってしまうかも知れないという軍隊の武力蜂起を、ラジオの声だけで喰いとめようという頼りのなさで、H宮は瘠せるような思いをなすったということだった。
— 久生十蘭 『だいこん』 青空文庫
この友達思いの新聞記者は、暫らくは物をも言わずに、――シャーロック・ホームスのように――其辺中を探し廻りました。
— 野村胡堂 『女記者の役割』 青空文庫
――あれえ――とか何とか言って、ヘタヘタと泥の中に横っ座りになった図なんてものは滅法色気があって――」「止さないか、馬鹿々々しい」「兎も角お神さんのお余野を医者へやってあっしは其辺中に眼を配りましたがね。
— 腰抜け彌八 『銭形平次捕物控』 青空文庫
あわてて其辺中捜し廻ったが、犬の子一匹居ねエ。
— 髷切り 『銭形平次捕物控』 青空文庫
「それにこんな大きな足の人間はあるものでしょうか」「…………」 平次はそれには答えず、その辺中を忙しく見廻しております。
— 幻の民五郎 『銭形平次捕物控』 青空文庫
その煙草盆を片づけて置け、また火入れを履かれるとかなわない」 銭形平次はニヤリニヤリと笑いながら、物々しくもその辺中を片づけ始めたのです。
— 怪盗系図 『銭形平次捕物控』 青空文庫
私は諸方をほッつき歩いて、其辺中の官兵の屯所は、一つ残らず顔馴染だから、私と一緒にお出でなさい。
— 野村胡堂 『芳年写生帖』 青空文庫