非存在
ひそんざい
名詞
標準
文例 · 用例
神とか、超自然とか、そうしたものの存在が、(また、非存在が)理論的に証明できないのはそのためなんだ。
— 中島敦 『狼疾記』 青空文庫
例えばプラトンに依ると、真の知識はただ真の存在(彼のいうイデア)についてのみ成立し得るのであって、これに反し存在と非存在との混合である現象の世界については単に意見があり得るのみである。
— 三木清 『哲学入門』 青空文庫
この差異は、前者においては、愛は真の存在に対する非存在的存在の、自己自身は愛することのないイデアに対する人間の、希求を意味したのに対し、後者においては、愛は根本においてより高いものがより低いものに、神が人間に降りてくること、身を卑しめることを意味したところから理解されるであろう。
— 三木清 『哲学入門』 青空文庫
デカルトもスコラ哲學に從つて人間を神と無との間の、即ち最高存在と非存在との間の中間者(medium inter Deum et nihil, sive inter summum ens et non ens)と考へてゐる。
— 三木清 『認識論』 青空文庫
かやうな存在即ちそのうちに非存在を含む存在である故に、誤謬も人間に屬するのである。
— 三木清 『認識論』 青空文庫
そしてそのとき私は、一くちに「空」といっても、その空は「般若の空」で、有(存在)に対する無(非存在)というような、そんな、単純な空という意味ではない、ということをお話ししておきました。
— 高神覚昇 『般若心経講義』 青空文庫
人類学的標本もあらわれて来て、そういうすべてのものが、まわりにウザウザしているなかでそういう未来の図絵を示される見物は何と大笑いに笑いながら、その非存在的本質を感じることか。
— 一九四〇年(昭和十五年) 『獄中への手紙』 青空文庫
殿様的空気ということは現代ではおき去られた非存在的存在の感じでね。
— 一九四一年(昭和十六年) 『獄中への手紙』 青空文庫