平身
へいしん
名詞
標準
文例 · 用例
かならず、厳罰に附し、おわびの万分の一、当方の誠意かっていただきたく、飛行郵便にて、玉稿の書留より一足さきに、額の滝、油汗ふきふき、平身低頭のおわび、以上の如くでございます。
— 太宰治 『虚構の春』 青空文庫
瞼をべつかつこうした小僧もあり、平身低頭の老番頭、そのかげから、昔、かけ先きの間違ひで無体に解雇した中年の男のうらめしさうな顔も出る。
— 岡本かの子 『老主の一時期』 青空文庫
お陰様で……」と平身低頭礼を言っている。
— 井沢衣水 『本州横断 痛快徒歩旅行』 青空文庫
それでも、一度だけだが、板の間のことをその場で指摘されるとなんとも、申し訳けのない困り方でいきなり平身低頭して詫びを入れ、ほうほうの態で逃げ帰った借金取りがあった――と、きまってあとでお辰の愚痴の相手は娘の蝶子であった。
— 織田作之助 『わが町』 青空文庫
それでも、一度だけだが、板の間のことをその場で指摘されると、何ともいい訳けのない困り方でいきなり平身低頭して詫びを入れ、ほうほうの体で逃げ帰った借金取があったと、きまってあとでお辰の愚痴の相手は娘の蝶子であった。
— 織田作之助 『夫婦善哉』 青空文庫
不意の見参といい、ことに先刻小間使を見てさえ低頭平身した青年の、何とて本尊に対して恐入らざるべき。
— 泉鏡花 『三枚続』 青空文庫
果せる哉、銀貨を馬に積んで居るから、金慣れた旦那、物に動ぜぬ番頭、生意氣盛の小僧どもまで、ホツと云つて目を驚かして、天から降つて來たやうに、低頭平身して、「へえ/\、へえ。
— 泉鏡太郎 『人參』 青空文庫
されども紳士は一向心附かぬ容子で、尚お彼方を向いて鵠立でいたが、再三再四|虚辞儀をさしてから、漸くにムシャクシャと頬鬚の生弘ッた気むずかしい貌を此方へ振向けて、昇の貌を眺め、莞然ともせず帽子も被ッたままで唯|鷹揚に点頭すると、昇は忽ち平身低頭、何事をか喃々と言いながら続けさまに二ツ三ツ礼拝した。
— 二葉亭四迷 『浮雲』 青空文庫