徒為
とい
名詞
標準
文例 · 用例
宜かろう、毎日の米の代といっても差支えない、大切なお花主を無くする上に、この間から相談のある、黒百合の話も徒為になりやしないかね。
— 泉鏡花 『黒百合』 青空文庫
わたくしはその全文を公にすることの徒為にあらざるを信ずる。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
「だって一日|後れると一日|徒為になるだけですもの。
— 夏目漱石 『明暗』 青空文庫
世界万邦の思想は、相接引するの時となれり、東西南北の区劃は政治地図の上にこそ見れ、内部文明には斯かる地図なからんとす、この好時代に生れて、思想界に足を投ずるの栄を得たるもの、誰か徒為に旧思想を墨守し、狭隘なる国家主義を金城鉄壁と崇め、己れと己れの天地を蠖屈の窄きに甘んぜんとするものぞ。
— 北村透谷 『一種の攘夷思想』 青空文庫
一、壮大を好む者総ての物に大の字を附して無理に壮大ならしめんとするは往々|徒為に属す。
— 正岡子規 『俳諧大要』 青空文庫
然らざる時は九たび諸侯を合すとも徒為のみと有之候。
— 小金井喜美子 『鴎外の思い出』 青空文庫
無徒為荒唐無稽之記事幸也矣。
— 谷崎潤一郎 『武州公秘話』 青空文庫