竹篦
しっぺい
名詞
標準
文例 · 用例
「若い方」……老成ぶった事をいうと葉子は思ったけれども、しかし事務長にはそんな事をいう権利でもあるかのように葉子は皮肉な竹篦返しもせずに、おとなしくショールを拾い上げて事務長のいうままにそのあとに続こうとして驚いた。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
すると、負けぬ気の春水は、すぐ竹篦返しに、お前の袴いく代経ぬらんと後の句を継いだ。
— 初出未詳 『茶話』 青空文庫
油脂|牛酪等を身に塗り、邪気を避け病毒を防ぎ、また神力を添え心身を清浄にする事で、暖熱の地の民はこれを日常大緊要の務めとする者多く、豕の脂など塗るを地方の人が笑うと、竹篦返しに、汝らこれを塗らぬ故身体悪臭を放つと蔑せらるる例は毎々見聞した。
— 馬に関する民俗と伝説 『十二支考』 青空文庫
吾国の村会、町会、市会、県会、国会等いう議員が、今日の如く竹篦下がりに堕落して行く根本的の原因が、国民の政治的智識の欠乏、言葉を換えて云えば愛村、愛町、愛市、愛国心等が薄いのに原因していることは誰でも知っている。
— 夢野久作 『街頭から見た新東京の裏面』 青空文庫
竹篦で液を掬い取る。
— 国枝史郎 『天主閣の音』 青空文庫
三百年前の弘安の役には、日本は蒙古高麗聯合軍の爲に、舊式の鐵砲で散々に苦しめられたが、三百年後の文禄の役には、竹篦返へしに、新式の鐵砲で明と朝鮮の聯合軍を散々に打ち破つた。
— 桑原隲藏 『東西交通史上より觀たる日本の開發』 青空文庫
一寸ばかりに切つた牛の骨が皿の中央に轉つて、それに燒パンの一片と竹篦が添つてゐる。
— 蒲原有明 『龍土會の記』 青空文庫
主人の説明によれば、竹篦は卒堵婆に擬へたものであり、それを使つて、骨の膸を抉り出して、燒パンに塗つて食べるのだといふことである。
— 蒲原有明 『龍土會の記』 青空文庫