霊棚
れいたな
名詞
標準
文例 · 用例
精霊棚の瓢箪が、ひとりでにぽたりと落ちても、御先祖の戒とは思わねえで、酒も留めねえ己だけんど、それにゃ蔓が枯れたちゅう道理がある。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
真菰の精霊棚、蓮花の形をした燈籠、蓮の葉やほおずきなどはもちろん、珍しくも蒲の穂や、紅の花殻などを売る露店が、この昭和八年の銀座のいつもの正常の露店の間に交じって言葉どおりに異彩を放っていた。
— 寺田寅彦 『試験管』 青空文庫
精霊棚を設けて亡魂を迎える人はやはり今でもあるのである。
— 寺田寅彦 『試験管』 青空文庫
「その晩も、小一按摩が、御当家へ、こッつりこッつりと入りまして、お帳場へ、精霊棚からぶら下りましたように。
— 泉鏡花 『怨霊借用』 青空文庫
八 箕輪のお時の家でも仏壇に精霊棚を作って、茄子の牛や瓜の馬が供えられた。
— 岡本綺堂 『箕輪心中』 青空文庫
二 新三郎は精霊棚の準備ができたので、縁側へ敷物を敷き、そして、蚊遣を焚いて、深草形の団扇で蚊を追いながら月を見ていた。
— 田中貢太郎 『円朝の牡丹燈籠』 青空文庫
盆が来て、みそ萩や酸漿で精霊棚を飾るころには、私は子供らの母親の位牌を旅の鞄の中から取り出した。
— 島崎藤村 『嵐』 青空文庫
此笹と同じ系統のものには七夕竹・精霊棚の竹、小にしては十日戎の笹・妙義の繭玉・目黒の御服の餅、其他東京近在の社寺から出る種々の作枝は皆此依代で、同時に霹靂木の用に供せられてゐるのである。
— 折口信夫 『髯籠の話』 青空文庫