族内
ぞくない
名詞
標準
文例 · 用例
これは単に僕の一族内の事で、君とは全く利害の交渉を有たない話だから、君が市蔵のためにせっかく心配してくれた親切に対する前からの行がかりさえなければ、打ち明けないはずだったが、実を云うと、市蔵の太陽は彼の生れた日からすでに曇っているのである。
— 夏目漱石 『彼岸過迄』 青空文庫
経済の事情が入りくんで来るにつれて、親子、夫婦、兄妹の家族内の関係もいろいろと複雑になって来ていて、私たちが真に人間らしい心持で、家族の生活を守り、高め、美しいものにしてゆくためには、今日ただ自分ひとりの気の持ちようだけでは屡々破綻する現実の事情におかれている。
— 宮本百合子 『若い婦人のための書棚』 青空文庫
一つの氏族内の母方の子供は、先任の酋長が男であろうと女であろうと選挙されればその地位を継承する権利を持っていた。
— 宮本百合子 『私たちの建設』 青空文庫
ですから伊藤内閣の時代には所謂正義派で、その生涯では大した金も残さず、しかもその僅かの財産も、没後は後継の人の非生産的な生活や、いろいろな家族内の紛糾のために何も無くなって、母は晩年、自分の少女時代の思い出のある土地の上に、雑草の生えるのを見て亡くなりました。
— 宮本百合子 『わが母をおもう』 青空文庫
宮廷貴族内庭の私的な事務に与り、主公に直接なる補助役・弁理者となり、訓化者となつた為である。
— 折口信夫 『万葉集研究』 青空文庫
といひ、オランダの Groot も亦、支那では國々(State)はいふに及ばず、天下さへも一家族の延長で、その國なり天下なりの主權者【たる諸侯又は天子】の權力を、【家族内に於ける】家父(Paterfamilias)の權力の延長と見做すのが、一貫せる政治上の主義である。
— 桑原隲藏 『支那の孝道殊に法律上より觀たる支那の孝道』 青空文庫
さうして家族内の罪の規定は、大體に於いて家族内で位置の低い者とか年の弱い者とかは位置の尊い者、年の多い者に對して、服從せねばならないことになつて居ります。
— 桑原隲藏 『支那の古代法律』 青空文庫
家族内に於ける新旧思想の衝突とは、嘗て屡々口にされたことでありますが、個々の特別な場合を除いて、多くは、「若い合理派」が、年長の保守的非合理派と対した結果であらうと思はれます。
— ――力としての文化 第二話 『日本文化の特質』 青空文庫