恢恢
かいかい
名詞
標準
文例 · 用例
天も……なんとやらで、なんとかして漏らさず……ですな」 弁者はこの訛言をおかしがりて、「天網恢々疎にして漏らさずかい」 甲者は聞くより手を抗げて、「それそれ、恢々、恢々、へえ、恢々でした」 乗り合いの過半はこの恢々に笑えり。
— 泉鏡花 『義血侠血』 青空文庫
囂々として、騒々として、漠々として、瞑々として、恢々として、何ともつかぬ無数の肉音声が、蒼い蒼い向うの麗光の空から吼えとどろいて来た。
— 北原白秋 『フレップ・トリップ』 青空文庫
魚がどんな惡いことをしたのか知らないが、天網の恢々を漁網の嚴密なのに持つて行つて、漁業家の主人を世俗的に喜ばせた筆者の氣轉が思ひやられる。
— 放浪 『泡鳴五部作』 青空文庫
是で天網恢々疎にして洩らしちまつたり、何かしちや、詰らないぜ」「なに今夜は屹度くるよ。
— 夏目金之助 『坊っちやん』 青空文庫
これで天網恢々疎にして洩らしちまったり、何かしちゃ、つまらないぜ」「なに今夜はきっとくるよ。
— 夏目漱石 『坊っちゃん』 青空文庫
』『何うだ、天網恢々疎にして洩さずだらう?
— 石川啄木 『我等の一團と彼』 青空文庫
わたしは、かれの、見得易からざる才分の、恰もゑんゑんたる春の波にもてあそばれて、恢々と、即ち、人生のための芸術の扉を開かれるのであります。
— 牧野信一 『浪曼的月評』 青空文庫
この場に於ける「神秘」を、僕は“Serpent of Eternity”の意訳から用ふるのであるが、神秘と永遠の分析に関して、凡そ意味ありげなる漠然たる言葉を排して、恢々たる煌星の姿を直言した斯の如き大演説に接した験しはなかつた。
— 牧野信一 『ユリイカ・独言』 青空文庫