男尊
だんそん
名詞
標準
文例 · 用例
生みの母に対する尊敬だけは極端に男尊女卑の彼らでも有っているのである――今しばらく北方へ隠れていてもらいたい、ほとぼりがさめたころに迎えを遣るから、とつけ加えた。
— 中島敦 『李陵』 青空文庫
翁は市内|櫛田神社(素戔男尊、奇稲田姫を祭る)、光雲神社(藩祖両公を祀る)、その他の神事能を、衷心から吾事として主宰し、囃子方、狂言方、その他の稽古に到るまで一切を指導準備し、病を押し、老衰を意とせず斎戒沐浴し、衣服を改めて、真に武士の戦場に出づる意気組を以て当日に臨んだ。
— 夢野久作 『梅津只圓翁伝』 青空文庫
ことに男尊女卑の弊害を論じて故森有礼氏とともに男女同権論を唱えたるは当時の社会をしてすこぶる驚愕せしめたり、これらの点については福沢氏一派の論者実にもっとも急激なる革新論者たり。
— 陸羯南 『近時政論考』 青空文庫
万葉集以前の古事記や日本書紀の中で、最初に描かれた女性であるイザナミノミコトは、古事記を編纂させた人は女帝であったにもかかわらず、それを書いた博士たちの儒教風な観念によって、男尊女卑の立場においてかかれている。
— ――文学にそって―― 『女性の歴史』 青空文庫
東洋にばかり根を張ったとされる牢のような家族制度、又は、男尊女卑の悪風は、時と云う偉大な裁きてが、順次に枯す根なら枯してくれます。
— 宮本百合子 『「母の膝の上に」(紹介並短評)』 青空文庫
婦人を男と区別しては考えていない、ということは、男尊女卑的な過去の伝習に対して、何歩か歩み出された考えかたである。
— 宮本百合子 『女性の現実』 青空文庫
若し、東洋の女性が不当に圧迫せられ、退嬰した状態を、男尊女卑と云うならば、確に西洋の人間は、女尊男卑であると云えましょう。
— 宮本百合子 『男女交際より家庭生活へ』 青空文庫
白樺派を主とする人道主義の人々は、出生した環境、階級の関係から、旧来の男尊女卑に反撥して、男と女との結合につよく人間性を求めた。
— 宮本百合子 『若き世代への恋愛論』 青空文庫