烱眼
烱眼
名詞
標準
文例 · 用例
もうあんな辛い奉公はさせへんぜ」 種吉は蝶子に言い言いしたが、間もなく所望されるままに女中奉公させた先は、ところもあろうに北新地のお茶屋で、蝶子は長屋の子に似ず、顔立ちがこじんまり整い、色も白く、口入屋はさすがに烱眼だった。
— 織田作之助 『わが町』 青空文庫
洋服に草履ばきは、昨日今日ざらにある敗戦の身なりで、何の不思議もないとはいうものの、烱眼に掛れば、囚人用の草履であることを見抜くかも知れない。
— 織田作之助 『土曜夫人』 青空文庫
阿呆程強いもんはないと叔母はさすがに烱眼だった。
— 織田作之助 『放浪』 青空文庫
片倉小十郎景綱というのは不幸にして奥州に生れたからこそ陪臣で終ったれ、京畿に生れたらば五十万石七十万石の大名には屹度成って居たに疑無い立派な人物だが、其|烱眼は早くも梵天丸の其様子を衆人の批難するのを排して、イヤイヤ、末頼もしい和子様である、と云ったという。
— 幸田露伴 『蒲生氏郷』 青空文庫
『うへつ、当つちよる、烱眼ぢやわい、どうして判つたか、言つて見い』 と着流しの客は、素直に兜をぬいだ、半玉は誇らしさうに白眼づかひの微笑をもらした、無邪気な半玉は、○○の膝の上で、右手で客の首を抱へ込み、コンパクトの鏡を、客の鼻先に突きつけるのであつた。
— 小説 『小熊秀雄全集−15−』 青空文庫
しかし法水が、最初から死者の世界にも、詮索を怠らなかったことは、さすがに烱眼であると云えよう。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
そして、こっそりと観客の中にまぎれ込んでいたのを、法水の烱眼が観破したのではないだろうか……。
— 小栗虫太郎 『オフェリヤ殺し』 青空文庫
あんなにくどく、念を押しましたのにな」 おどろきながら小者が、不審にたえないといったように首をかしげましたものでしたから、早くもその烱眼のピカピカとさえたものは名人右門です。
— 足のある幽霊 『右門捕物帖』 青空文庫