顔差
かおさ
名詞
標準
文例 · 用例
と驚きの余り八蔵は、思わず声を立てけるにぞ、婦人は少し枕を上げて、窓をあおぎ見たる時、八蔵ぬっと顔差出し、拳に婦人を掴む真似して、「汝、これだぞ、と睨めつくれば、連理引きに引かれたらむように、婦人は跳ね起きて打戦き、諸袖に顔を隠し、俯伏になりて、「あれえ。
— 泉鏡花 『活人形』 青空文庫
顏差し覗きて猫撫聲、『や、や』と媚びるが如く笑を含みて袖を引けば、今まで應えもせず俯き居たりし横笛は、引かれし袖を切るが如く打ち拂ひ、忽ち柳眉を逆立て、言葉鋭く、『無禮にはお在さずや冷泉さま、榮華の爲に身を賣る遊女舞妓と横笛を思ひ給うてか。
— 高山樗牛 『瀧口入道』 青空文庫