暮れ行く
くれいく
名詞
標準
文例 · 用例
)片山家の暮れ行く風情、茅屋の低き納戸の障子に灯影映る。
— 泉鏡花 『夜叉ヶ池』 青空文庫
まあ、たいしたこともないさ」 蒼冥と暮れ行く薄暮の裡に、中庭は神秘的に燻んで来た。
— 岡本かの子 『花は勁し』 青空文庫
余はかう思ひながら靜かに暮れ行く寺泊の磯の砂濱へ笠も蓙も荷物も投げ出して徐ろに草鞋の紐を結んだ。
— 長塚節 『佐渡が島』 青空文庫
暮春の賦冷たき土窟に釀されて、若紫の色深く泡さく酒の盃を、わがくちびるに含ませよ、暮れ行く春を顫きて、細き腕の冷ゆる哉。
— 薄田泣菫 『泣菫詩抄』 青空文庫
軟かな五月の空氣の中で、しばらく私は町の角に佇立んで、暮れ行く空を眺めて居りました。
— 島崎藤村 『幼き日』 青空文庫
今歳もまた暮れ行く。
— 田山花袋 『田舎教師』 青空文庫
輿の中の獲物 白皚々たる御嶽山は、暮れ行く夕陽に照らされて、薄紅の瑪瑙のように深碧の空に聳えている。
— 国枝史郎 『蔦葛木曽棧』 青空文庫
(と自分の髪の毛にさわる)その髪の毛を暮れ行く薔薇色の夕日に映しておりました。
— 国枝史郎 『レモンの花の咲く丘へ』 青空文庫